ご挨拶

第29回日本看護管理学会学術集会

学術集会長 田中いずみ

(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 副院長・看護部長)

この度、第29回日本看護管理学会学術集会を、2025年8月22日(金)・23日(土)に札幌のグランドメルキュール札幌大通公園(旧ロイトン札幌)と札幌市教育文化会館で開催の運びとなりました。本学会の会員、関係者の皆様のご支援とご協力の下、開催できることを心より感謝申し上げます。

今回の学術集会のテーマは「暮らしの中の協奏」です。

人口構造の変化により、これまでの当たり前の暮らしが脅かされています。加えて突如として起こる自然災害、日々変化する世界情勢が私たちの暮らしに大きく影響しています。しかもこの困難な在り様は地域ごとに異なります。その中で看護職は、刻々と変化する医療・介護の状況に向きあわなければなりません。

一方その地域に暮らしている人々をみていくと、海、山に囲まれている過疎地でも高層ビルが林立する都会においても、地域の変化に合わせて豊かに暮らす人間の持つ強さを垣間見ます。そこで暮らしている人々がそれぞれの人生を生ききれるように、私たち看護職はその人の持つ力を信じ、対象となる人々と、その人を取り巻くメンバーと共にケアを奏でることが重要であると考えます。

協奏は、主体同士が調和し、組織が響きあう身体的共同過程であると言われています(小森谷,2012)。その意味には皆で力を合わせて成果を得るだけでなく、ケアを奏で響きあい、楽しみながら自分事として物事を進める意味を含んでいると思います。これらを実践するためには、質の高いマネジメントが欠かせません。

そこで今学会のテーマを、「暮らしの中の協奏」としました。日々の暮らしの中で、医療職や介護職、福祉関係者や行政、ボランティアなどそれぞれが、その役割に応じて、時には役割を開放して、当事者自身と共に課題を明らかにしながら環境に合わせて協奏する。その協奏には、組織の中における多職種や、地域の介護、福祉との協奏があります。あるいは教育と臨床の協奏もあるでしょうし、災害時では日本全国での協奏となるでしょう。看護職は暮らしの中でその人らしく生きるためにはどのようにすれば良いのかを探し、追い続ける。日々葛藤しながらも看護の核を見つめケアを奏でる。それが対象となる人々と看護職自身の明日の暮らしを守ることに繋がると考えます。

これまでの日本看護管理学会学術集会で蓄積された看護管理等の専門的知識をもとに、学会に参加する皆様と共に協奏し、看護職が未知なる困難に立ち向かえる、その知恵と勇気をもてる学会にしたいと考えます。

札幌での開催は13年ぶりとなります。爽やかな北海道で皆様のご参加を心よりお待ちしております。

出典:小森谷浩志(2012).協奏する組織,認識力のある主体の観点から.第1版.学文社

第29回日本看護管理学会学術集会
学術集会長 田中いずみ
手稲渓仁会病院 副院長・看護部長

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