第43回日本骨形態計測学会

ご挨拶

第43回日本骨形態計測学会
会長 飯村 忠浩
北海道大学 大学院歯学研究院 薬理学教室

第43回日本骨形態計測学会を2023年6月29日(木曜日)-7月1日(土曜日)に、北海道大学 学術交流会館(札幌市)で開催させていただきます。

大会テーマは、「北の大地で、骨の健康をとことん科学する〜Bones, be Active! ~」です。

意識してベタなテーマとしました。

骨は硬いのにダイナミックな臓器です。骨は動的平衡を保ちつつも成長し、20歳台で人生最大の骨量に達します。その後、性ホルモンの低下、加齢、不動などの要因から、この動的平衡は徐々に破綻し、骨量は減少します。骨の健康の維持は、長寿を志向した我々人類の課題です。

個体の発生・発達すなわちOntogenyにおいて、骨の構造(かたち)は、ミクロからマクロ(nmからcm)のスケールで、ダイナミックに変化します。従って、骨を中心とした生体のミネラル代謝(骨代謝)および骨代謝疾患は、骨のかたちと密接に関係します。骨のかたちを計測して定量評価・比較するという手法(広い意味での骨形態計測)を中心に置いた骨形態計測学の発展には、このような骨の生物学的な特徴が背景にあります。

骨は、脊椎動物の系統発生すなわちPhylogenyにおいて、そのかたちと機能を変化させて来ました。摂食・捕食機能と運動能を向上させるために顎骨と背骨が開発され、水棲から陸棲に移る際には、体内にカルシウムを貯蔵する必要から、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、活性型ビタミンDによる巧妙な骨代謝調節機能を獲得したと考えられます。骨のかたちが、脊椎動物の進化・系統発生の研究に大きく貢献して来たことは、恐竜化石の発見などからも容易に想像できます。

本学会は、高橋榮明先生(新潟大学整形外科学教室)が、1979年に新潟で開催された第1回骨形態計測ワークショップを起源とします。以来、骨形態計測法を中心に、二重エネルギーX線吸収法(DXA)、µCT、HRpQCTといった新しい臨床画像解析法の開発や、先進の蛍光レーザー顕微鏡、振動分光法、X線回折法など革新的なイメージング技術の応用とともに、本学会は発展して来ました。また、本学会の発展には、関連する製薬企業や計測機器開発・販売企業の貢献も、特筆すべき重要な背景です。

自然林と北海道先住民の方々のレガシーそして明治時代以来のアカデミアの歴史に囲まれた、私たちが日本一と自負する「北大・札幌キャンパス」に、是非ともお越しください。骨のかたち好きが、専門分野を超えて、スケールを超えて、歴史を超えて、産学の枠組みを超えて、(津軽海峡を超えて)、とことん語り合える、そんな学会になれば幸甚です。

楡林に篝火を焚きて、骨の健康を大いに科学しましょう。

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