大会長挨拶

第35回日本顎関節学会総会・学術大会の開催にあたって

第35回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会
大会長 山口 泰彦
北海道大学大学院歯学研究院口腔機能学分野冠橋義歯補綴学教室 教授

大会長 原田 浩之

この度、第35回総会・学術大会の大会長を務めさせていただきます。

皆様方におかれましては、コロナ禍により様々な影響を受けられ、その対応に大変な日々を過ごされていることと存じます。本会総会・学術大会においても、第33回、第34回と2大会続けて通常の対面ではなく、Web上での開催を余儀なくされております。そのような中、第35回大会につきましては、常態での開催に少しでも近づけることを目指し、札幌市教育文化会館での対面形式を主体とし、一部オンラインも併用したハイブリッド形式で開催する予定と致しております。

開催日についても、34回大会の開催時期(2021年10月23日~11月23日)からの間隔が短くはありますが、2022年7月2日(土)~3日(日)の開催とし、長年の本会の常態の開催時期に戻させていただきました。

顎関節学会の最も大きな対象疾患である顎関節症の治療の歴史では、ご存知のようにいくつかの流行の変遷がありました。咬合治療主流時代、顎関節内障、円板転位の病態解明の時代、関節雑音に対するリポジショニングスプリントや咬合再構成の時代、外科手術全盛時代、関節造影やMRI導入の時代、心身医学・精神医学的対応導入の時代ほか、様々なトレンドがあり、それに合わせ、各専門領域の医療従事者の顎関節症への関心、治療参加意欲は変化し、治療に携わる専門領域の層も変動するという現象が繰り返されてきました。

顎関節症の研究の進歩とともに何らかの流行が生じるのは当然ですが、その流行の振れ幅が大きすぎると、過去の治療法や対応法が全否定され、見向きもされなくなる現象が起こり得ることが危惧されます。新たな発見は、過去の治療法や対応法を消滅させるものではなく、むしろ、顎関節症の多様性の認識をより深め、それに伴い治療法の選択肢をさらに増やすことの重要性を示すものであるはずです。

このことを忘れないためにも、今回のテーマは「顎関節症:その多様性を理解する!」とさせていただきました。2日間の限られた時間枠の中ではありますが、できるだけ多様な観点から顎関節症、顎関節とその関連領域にアプローチするために、特別講演1題、教育講演1題、シンポジウム7企画、教育セミナー2企画、部会・委員会等各種セミナー5企画、覚道健治賞受賞講演1題と、盛り沢山の企画で多くの講師の先生方にご講演いただきます。そのうち、2つの企画では日本口腔顔面痛学会に、1つの企画では日本顎関節外科研究会に共催いただくこととなっております。数多くの企画講演に加え、一般口演、ポスター発表も当然ございますので、最新の研究成果や日々の臨床の知見を多くの会員の皆様からご発表いただければと思います。また、ハンズオンセミナーも2つ企画しておりますので、奮ってご参加願います。

医療従事者各自が、また、本学会、そして医療界全体が、顎関節症やその関連領域に関し、より多くの引き出しを持つことが、社会の幸福に繋がるものと信じています。本大会で活発で実りあるディスカッションがなされ、顎関節症の多様性への理解が深まり、研究や診療の幅がより広まることを念じております。多くの皆様のご参加とご協力をお願い申し上げます。

前述のように、対面主体での開催を予定しており、皆様の札幌へのお越しを心待ちにしているところですが、コロナ禍の収束状況によっては、無謀なことはせず臨機応変の対応をとる所存です。開催方式等に関する最新情報は、ホームページでのご確認をお願い申し上げます。

2022年2月

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